旅先で出会った、忘れえぬ人たち(3)
- 330 名前:バラデーロ 投稿日:02/10/19 20:01 id:nuc9VLz0
- 宍道湖のほとりにある道の駅にキャンプをしたときのこと。
バイクから荷物を下ろしていると道の駅で休憩をしていたおっちゃんが話しかけてきた。
「大阪からか?」
バイクのナンバーを見ておっちゃんはそう言った。
話を聞くと、おっちゃんは以前大阪で働いていたが、不況で職を失い故郷の島根に帰ってきたらしい。
今は道路工事の誘導係をしているそうだ。
「あそこは今どうなってる?ワシが大阪におったころはよく遊びに行ったんやけど」
ローカルすぎて分からないところもあったけど、できる限り答えた。
やっぱり都会には未練があるんだろうかと思って聞いていた。
「島根はいいとこだろ?大阪みたいにゴミゴミしてないし」
おっちゃんは何度も何度も自分の故郷のすばらしさを語り続けた。
「ほら、こんなに星がきれいに見える。大阪ではぜんぜん見えんかった」
そう言っておっちゃんは空を見上げた。自分も一緒に見上げる。
どんな思いで故郷を出て都会に向かったか、なにを考えながら都会から故郷に帰ってきたか。
それを想像すると泣きたい気分になった。