――昔、ぼくが住んでいた家――



192 :大人になった名無しさん :04/06/06 00:47
去年、4年付き合った彼女と結婚した。

今年のゴールデンウィーク、どうしても見せたい場所があるからと
帰省ついでに大昔住んでいたアパートに連れて行った。俺が産まれ、育った場所。

もうすぐ着く頃に、アパートの屋根が見えた。
まわりに高い建物なんか無いから、すぐにそれだと気付いた。
看板こそ以前よりも新しいものに変わっていたけど名前もそのまま、
だけど俺と家族が住んでいた部屋のあった1階は、いつのまにか駐車場に変わり
そこに俺の思い出は無かった。

「ここが見せたかった場所?」とカミさんが聞いた。
「そうだよ、俺が産まれて育ったのがこの場所。  アパート自体はあっても部屋が無くなってる・・・
 思い出が無くなっちゃった感じで寂しいな」

そしたらカミさんが微笑んで 「思い出が無くなったってのは違うでしょ?」と。
「時間が経って部屋は無くなったかもしれないけど、
 心の中の大切な思い出が無くなってないから、ここに来たんだよね?
 大切な思い出だから、連れてきてくれたんだよね?」
そう言われて涙が出た。
なんとなく、だけど、この人と結婚してここに一緒に来れて良かったと思った。