【感動】ハンカチ無しでは読めないスレ【希望】



449 名前:病弱名無しさん 投稿日:03/02/05 13:43 ID:1pTHuKoP
息子が4才の時、私が羅患していたインフルエンザに感染し、
40度以上の高熱を出し、深夜に痙攣を起こした。
意識はなく、搬入先の病院から、翌朝、県都にある緊急病院に転送された。
ICU(集中治療室)のベッドに寝かされ、胸や鼻にチューブやらコードやら
取り付けられた。

医師からはインフルエンザ脳症ですと告げられ、壊死性脳症というタイプの
病状であり、今のところ小脳が壊死(脳が死んでいる)している旨、また、
症例もあまりなく治療法が確立されていないこと、過去の症例等の説明があった。
その説明を聞いて、「息子はもう死んでしまうのだな」と感じた。

医療処置があるのでとのことで、いったん待合所に出、椅子に座りながら、
妻(別の病院に入院中)にどのように説明しようかと悩んでいた時、
ふと目の前の清涼飲料の自動販売機に気がついた。
その中に息子がよく飲んでいたポケモンのオレンジジュースがあることを発見したのだ。
缶のふたのところに5百円玉位のおおきさのポケモンのコインが入っていて、
息子がコイン目当てに買っていた物だった。
その瞬間、これまでの出来事が余りにも突然なため、「息子の死」というものについて、
実感を持って理解できなっかたのだが、急に涙が溢れてきて、いつまでも止まらなかった。
昨日まで本当に元気にしていた。
覚えたばかりのふざけたテレビ漫画の歌を大声で歌うものだから、「うるせえ!」と
怒鳴りつけたのも昨日のことだ。そんなことが次から次ぎへと走馬燈のように頭の中を
回り、今病院にいることが夢なのかどうかさえも分からなくなり、ひとりで泣き続けた。



450 名前:病弱名無しさん 投稿日:03/02/05 13:45 ID:1pTHuKoP
それから、ICUでの入院生活が続いた。約1週間、依然として胸のチューブ等はついたままで、
意識はあるのかどうか分からず、普段の3分の1位しか開かない眼はうつろだった。
もちろん手や足はほとんど動かなかった。
話しかけても、返事もなく、時折眼球が私の方を追うようにゆっくりと動くが、
見えているのかどうかも分からなかった。

看護婦さんがテレビを運んできてくれた。「外からの刺激も大事ですから」と
NHK教育テレビをつけて去っていった。
それから2.3日。いつもと同じように息子が見えるように教育テレビをつけ、
私は呆然としながら脇に付き添っていた。
すると突然、かすれるような小さい声で「だ...ん....ご」。
びっくりして息子の方を向くと、テレビの方をみながら息子の口元がかすかに笑っている。
しゃべったのだ。
思わずテレビの音量を上げた。
テレビは「ダンゴ三兄弟」の歌を放送していたのだ。やっぱり息子の好きな歌だった。
テレビは見えていたし、歌も覚えていたのだ。
よかった。うれしかった。
歌が終わると、息子は眠りはじめた。
私は自動販売機にポケモンのジュースを買いに行った。