【感動】ハンカチ無しでは読めないスレ【希望】

321 名前:病弱名無しさん 投稿日:03/01/06 15:14 id:eEpZL5Ct
去年の夏は毎日のように、会社近くの公園のベンチに座って携帯電話を握っていた。
入院中の親父の病状を母親に確認するのと、看病で疲れている母親を励ますため。
病状と同様、母親の精神状態も一進一退で、昨日電話口で号泣され、すぐ帰ってこいと
言ったと思ったら、次の日には嘘のように元気な声で「当分持ちそうだから帰って来なくていい」。

いつも昼飯食ったあと、ベンチに直行。蝉がミンミン鳴く中、母親を慰めたり
あまりわからないことを言うときには怒鳴りつけたりと、本当に辛かったが、
闘病中の親父はもっと辛いだろうと何とか耐えた。
ベンチから遠くに見える建設中のマンションを見るともなしに見ながら、
こんな苦しみがいつまで続くのだろうと思った。

親父が力尽きたのは、暑さもピークの8月。会議中に同僚の子が知らせてくれた。
喪主だったので、ばたばたして悲しみに浸る間もなく、また仕事が立て込んでいた
こともあって、式の翌日には東京に戻ってきていた。

四十九日が済み、仕事も落ち着いた秋口頃、久々に公園のベンチに座ってみた。
暑く、辛かった夏を思い出しながら遠くを見ると、建設中だったマンションが
立派に完成していた。

ふと、あのマンションの建設中は、親父は確かに生きていたんだと思うと、
なぜか涙が止まらなくなった。俺も母親も辛かったが、親父が生きててくれるなら
あれくらいの苦しみ、何年でも続けてあげられたのに。
あの辛かった日々が、愛しくさえ思えてきた。
またマンションが建設中になればいい、と思った。

でも親父も辛かったんだよな。苦しかったんだよな。
今は楽になったか? 今年は初めて親父のいない正月だったよ。
産まれてすぐ入院しちまったから、結局親父が一度も抱けなかった
孫(姉貴の息子)がな、物に捕まりながらだけど立つようになったぜ。