嗚咽 その4



73 :大人の名無しさん :03/03/18 10:11 ID:03X1KrMB
高校時代からの親友、悪く言えば腐れ縁というのはよくあると思う。
そんな友達がS、W、Mの3人だった。
年中一緒に遊んだり、バカなことやったりした奴等だった。
バカだから揃って浪人もした。

1浪後、仲間は地元の、私は一人都内の大学に進学した。
距離も離れ、また各々の大学で友達もできたりして、以前ほど遊ばなくなってしまった。
たまに帰郷したときに連絡を取る程度だった。

大学三年の冬、当時つきあっていた私の彼女が事故にあった。
バイト先から駆けつけた時にはもう息を引き取っていた。
彼女の父親に罵倒され、彼女の母親には逆に謝られた。
私はショックで2ヶ月くらい引きこもり、体重も一気に15kgぐらいやせた。

やっとまともな生活ができるようになった頃、Sから『久しぶりに皆で旅行にでも』と誘われた。
あいつらには彼女の事は言ってない。
今の状態で行こうか迷っていたが、私もこのままではいけないと思い、参加することにした。



74 :大人の名無しさん :03/03/18 10:12 ID:03X1KrMB
北海道に行った。
綺麗な雪景色を見て、美味い物をたくさん食べたが、私はいまいち盛り上がれなかった。
3泊4日の最後の夜、WとMは買い物に出かけ、私はSとビールを飲んでいた。
雑談の切れ間、ちょっとした沈黙の後に、Sが気まずそうに話し始めた。

『俺らバカだから、こんなことしか思いつかなかったよ。
 ごめんなぁ。
 お前が一番つらいときに、力になってやれなくてごめんなぁ。』

Sは泣いていた。『いいって。いいって。』と言いながら私も泣いた。
悲しさが蘇ってきたのと、目の前で私を気遣い泣く友人を見て涙が止まらなかった。
お互い見ていられずそっぽを向き、顔を隠しながら泣いた。

Sの話だと、地元で偶然会った私の母から聞いたのだという。
SはWとMに相談し、今回の旅行を計画したそうだ。
その後、帰ってきたWとMを交え、私達は朝まで飲み明かした。


今は私も結婚し、WとMには子供もいる。
そして今年の6月、最後まで独身だったSがついに結婚する。
S、ありがとな。スピーチはまかせろよ。
これからもW、Mと一緒に酒を飲もう。