思い出の一本 (   )y−o O O

128 名前:名無しは20歳になってから 投稿日:03/01/14 20:34
漏れの年上の彼女は煙草を吸う。
漏れは吸わない。煙草は嫌いだ。

ある日漏れも彼女の煙草を一本吸おうとした
彼女は「やめとき…」と言った

漏れは彼女を愛しているし、多分世界で一番彼女のことを分かってると思う
だけど煙草という点に関して、漏れは彼女の気持ちが分からない
子供扱いされたようで意地になって、一本吸った。

火をつけて、深々と吸い込んだ。
吐き出した途端、ゴホゴホとむせた
思いっきり吸い込んだから、思いっきりむせた
彼女は漏れの背をなでながら、小さく「馬鹿…」と言った

「煙草を吸うようになったことを後悔したことがあるか?」

そう漏れは聞いた。彼女は頷いた。
「…特に、煙草を吸わない人と付き合っていると、吸うことを覚えなきゃよかったと後悔する」

窓の外を見ながらつぶやいた彼女は何を思っていたのだろう
ずっと昔、漏れのように煙草を吸って初めて咳き込んだ日のことを思い出しているのだろうか
それともその時横にいて、背中をさすった男の事でも思い出しているのだろうか

煙草。漏れの愛する彼女にこんな悪癖を教えた過去の男と
悪癖と知りつつも男の言うがままに煙草を覚えた彼女の過去と…

なんだかよく分からないが、妙に嫉妬した

まだ喉は、ひりひりしていた
だから漏れは煙草が嫌いだ。