旅先で出会った、忘れえぬ人たち2



355 名前:774RR 投稿日:02/07/11 04:21 ID:5x927F+Z
母方の祖母は世間一般でいうやさしいおばあちゃんではなく、自己主張の強い猛女タイプ。
自分が幼い頃よく叱られたそれも母親以上に。
じいさんが死んだあと同居をしばらくしてたけど親が転勤で地元を離れることになり
ばあちゃんは家に残るといった。
で、何かの休みとか子供だけでばあちゃんのトコに行ってもあんまりうれしそうでもなく
やっぱり叱られることが多かった。(小言とかね。)
それで、なんとなく稀にしか顔を見せなくなって中学に入ってからはテストや部活や受験を口実に
ばあちゃんのトコへ滅多に顔を出さなくなった。
高校生になって、バイクにハマり街中をふらついたり、ソロツーに出たりすることが多くなった。
そんな折、どうしてもばあちゃんのトコへ荷物を届けて欲しいと言われたので渋々出かけた。
久しぶりの実家に着いたがなんとなくそこはもう自分の家じゃない感覚が強くて早く帰りたい思いで一杯だった。
で、ばあちゃんと対面。
えっ!?こんなに老けてたっけ?と思うぐらい弱々しいおばあちゃんになっていた。
かなり角が取れたようになっててすごくびっくりだった。
会った早々とても喜んで家へと招き入れられてすごい量の果物とかお菓子を用意されて困った。
で、頼まれた荷物を渡して少ししゃべって帰ろうとしたら、「もうケエルのケ?」というセリフ。
またまたびっくり。それ以来たまに来るようになった。
大学生になってから付き合うようになった彼女を家族に紹介するのは気が引けて最初に会わせたのも
ばあちゃんだった。
その後彼女と結婚することになってその準備に追われていた頃にあっさりとばあちゃんは逝った。
なんの前触れもなく、自宅で。
葬儀を終えて遺品整理をしかけた頃に引きだしの中に大事そうにしまってあった写真立てを発見。
何気なく見たら、最初に彼女と会わせたときに記念に三人で撮った写真だった。
ばあちゃんは写真を撮ってもほとんど紙袋とかに入れておくタイプだったので、
かなりびっくりしてしまった。で、その時初めて涙を流したように思う。
結婚式を見せてあげたかったなととても強く思った。

今、カミさんと実家で暮らしてる。幽霊でもいいからばあちゃんに会いたいなと思う。