セピアな思い出∫泣ける話



362 :大人になった名無しさん :2005/10/01(土) 22:55:53
当時、私には色々悩みとかがあった。
将来に関わったりするようなすごい重要な悩みではなかったが、
あまり精神面の強くない私とって、他の人からすれば小さな悩みかもしれないがけっこうこたえていた。

私には一人の友人がいた。
その友人は問題解決の案を出したりしてくれるわけではないが、いつも私の話を聞いてくれた。時には何時間も。
彼女も私なんかに悩みを打ち明けてくれたり、何度も一緒に街へ出かけてくれたりもした。
彼女といた時間は本当に楽しかった。
一方的に思っていただけかもしれないが、いつしか私にとって彼女は親友と呼べる存在になっていた。

だけど別れの時は来てしまった。
彼女は長い間海外へ行くことになってしまった。
成田へ向かう電車の中、また将来会えるしいつでもメールや電話ができるから何も悲しむことはない。
その時は悲しみはみじんにも感じていなかった(気がする)。
性格のいい彼女には私以外の友人がたくさんいて見送りには何人も来ていた。

私とその友人達とは深い関わりもなかったため私はその友人達と話す彼女とあまり話すことができなかった。
ただ彼女が荷物を預け終えゲートをくぐろうと背を向けた瞬間
「本当にもう行ってしまうんだ」と感じ、
私は彼女の名前を呼んだ。
そして今までため込んでいたものが一気にあふれ出した。
私は泣いていた。
そして、ありがとうと言いたかったが泣きながらではとても言うことができなかった。
すると彼女は涙声で私のことを抱きしめてありがとうと言ってくれた。

違うよ。
本当にありがとうを言いたいのは私のほうなんだよ。



しばらくぶりに彼女の声を受話器で聞く。
また会えたね。