思い出の一本 ( )y−o O O
- 571 :大学4年生 :03/11/21 11:54
- もう大学4年になった。
大学入ってからホントにあっという間だった。
この前、学校の近くで一人暮らししてる友達の家に
そいつと俺と他の友達の3人で泊まった。
夕飯食ってTV見たりゲームしたり、当たり前のような時間が
その日も過ぎていった。
深夜になると3人とも睡魔に襲われてきたので、
狭い部屋の小さなコタツを囲みながら思い思いに横になった。
電気を消すと部屋が暗くなった。
外には街灯もそんなに無かったので本当の闇といったカンジだ。
- 572 :大学4年生 :03/11/21 11:58
- 横になり始めの頃は、誰かがくだらない話をしては
「うるさいんだよ〜寝かせてくれよw」
と他の誰かにツッコまれるといった状況だった。
そのうちそれぞれ言葉数が少なくなって、
30分もすると部屋は静寂に包まれた。
時間が流れる。
しかし3人は寝てはいなかった。
何故かお互いに寝ていないことが自然に分かっていた。
だからしばらくして友達が言葉を発した時も
普通に対応できた。
「俺たちもう4年だよ・・・早かったな」
暗くなってから1時間近く経っていた。
- 573 :大学4年生 :03/11/21 12:09
- その言葉がきっかけで、俺たちは
大学生活をそれぞれ振り返り始め、そして語り合った。
初めて大学に来た日の事、
こいつらと友達になったきっかけ、
食堂でのトラブル、
授業の辛さ、
それぞれの彼女との思い出を語り合った事、
みんなで徹夜でテスト勉強した事、
就職活動の事・・・
話せばキリが無い。
3人は体勢こそ横になっているので寝ようとしているのだが、
どうにもこうにも話が止まらない。
暗い部屋に、3人の笑い声が響いていた。
- 574 :大学4年生 :03/11/21 13:15
- もう完全に寝られなくなってしまった。
他の2人も同じだった。
それだけ思い出が多かったのと、
語り合っている今の時間がたまらなく楽しかったから。
少しの沈黙の後、俺は自然につぶやいていた。
「タバコ吸っていい?」
友達は「おう。」と返す。
次の瞬間、3人が一斉に起きた。
コタツを囲んで向かい合う。
でも顔は全然見えない。
それぞれタバコは違っていた。
アイツはラークマイルド、アイツはマルメン、
そして俺はセッター。
火を付けた時、お互いの顔が闇に浮かぶ。
その顔を見てまた笑い、また語り合った。
- 575 :大学4年生 :03/11/21 13:31
- 思えば、こいつらから色々な事を教えて貰った。
タバコも、その1つだ。
高校まで真面目1本だった俺。
ろくに友達もおらず、背伸びもできなかった俺が
大学に入って成長できたのはこいつらのお陰だった。
今まで吸ってきたタバコの数だけ思い出があり、
今出ている紫煙のようにそれがこの場であふれ出ている。
それがたまらなく嬉しかった。
もう少しでタバコがおしまいという時、友達が大声で言った。
「俺、オマエらが友達でホント良かったよ。もし友達じゃなかったら
今の大学生活は無いもんな。楽しくしてくれてありがとう」
・・・部屋が暗くてよかった。涙が出た。
俺も負けないくらいの大声で同じ事を言ってやった。
もう22歳なのに初めてそんな事言われた。
3人が言い終わった後、タバコの火種が消えた。
- 576 :大学4年生 :03/11/21 13:42
- 来年になれば大学も卒業。
4年前に偶然出会った俺らは、またそれぞれ
違う道へと進んでいく。
俺にとっての大学生活は、単なる通過点では無くなった。
ここで出会った友達、過ごした日々・・・一生忘れない。
あの時のタバコ、うまかった。
アイツらもきっとそう思ってる。
友達になれてホントによかった。
ありがとう。
また、みんなでタバコ吸おうな。