【おとん&おかん】親孝行しよう!【ありがとう】



154 :774号室の住人さん :04/12/01 23:27:09 id:XYhzBT+H
大学は地方の私大へ行った。

中学高校と成績は中の中から中の下あたり。
進路を決める時にこのままじゃあいかんなと思い、環境を変える意味でも一人暮らしの出来る地方大へ進む事にした。
うちの家は決して貧乏ではないと思うが、蓄えが殆ど無かったと思う。
両親共働きで使い切りの生活。実のところはどうなってるかは知らない。
ただ、漠然とそんな雰囲気を感じていたので、生活費はバイトするから何とか行かせてと頼んだと思う。

華の一人暮らしが待ってるとか期待したけどそんなに変わるもんじゃなかった。
親がやっていてくれた事を自分でやるだけの事。
普段の生活は実家暮らしと殆ど変化が無かった。

一人暮らしにも慣れ、その町にも慣れ、友達もできたけど、初めに約束したバイトはあんまりしなかった。
時給が安いだの、学校が忙しいだの言い訳をしてきた。
実際、頑張ろうと思えば全然時間は作れたと思うが、学生故なのか自分の性格がそうなのか努力をしようとは思わなかった。

こんな生活を過ごして3年の冬。
就職か進学か進路を決めなくてはいけない時期がきたけど、まだ働きたくないだけの理由で院へ行きたいと親に言った。
当然、そんなお金がどこにあるんだ?とか言われたけど、何とかなると思ってた。

3年の終わりの春休みの事。
実家に帰って最寄の駅まで母親に車で迎えに来てもらった。
車の中で何気なく父と母の出会いについて聞いた。

少し間があっただろうか。ぽつり、こんな事を言った。


「実はあんたの親父なー、・・・ほんまの親父やないねん」


自分の鼓動が早くなるのが分かった。然程興味が無いような振りして気の無い返事をしたと思う。
でも、それと同時に『やっぱりな』ってのを感じた。
今まで21年間、疑問に思ってたことが全て繋がった気がした。
抜け落ちたパズルが埋まるような感覚。

・・・弟と顔が全然似てないって言われ続けてた。
・・・パスポートの申請を自分でさせてくれなかった。
・・・赤ちゃんの時に父親と一緒に写った写真が無かった。

「ほんまはあんたが働き出してから言おうと思っててんけど、今ちょうど良い機会やから」と。

その後、父とは母が働く喫茶店で知り合って恋に落ちたこと(既にその時には俺がいたらしい)。
結婚を猛反対されたこと。
俺を連れて行くようになって段々と打ち解けていって、結果許してくれたらしい。
かわいそうと言う事で、本当は弟は作らない予定だった。
などの話を聞きながら家に帰った。

今まで、親なら子供を大学まで行かせるのなんて義務だろう、ぐらいな気持ちでいたけどそんなのは微塵も無くなった。
血の繋がらない俺の為に一生懸命働いてここまで育ててくれた事を思うと涙が止まらなかった。
それと同時に当たり前と思っていたことを、当たり前だと甘えて生きてきた事をすごく後悔した。


それから進路を就職に変えて就職活動を始めた。
今までサボってきた分、中々就職先を見つける事が出来なかったが、一生懸命努力し、そこそこ有名な企業へ就職することができた。

今は東京で暮らし、一人暮らしも8年が経とうとしている。
経済的に自立し、親に頼らずに生活している。

働いて初めてのボーナスの時は温泉旅行をプレゼントした。
弟の成人式のスーツは俺が買ってやった。
夏と正月には実家に帰るようにしている。
勿論彼女もうちの両親と仲良くなってもらいたいし、大切にしてもらいたいので一緒に連れて帰っている。

それで次は、2週間後にうちの弟が結婚するだー。
嫁さんは中学時代の同級生で元カノ。
実はその嫁さんには子供がいて、もう時期2歳になるのかな。
男の子ですごいカワイイんだ。


まったく俺と同じ境遇の子供。

今まで生きてきて幸せだったと思えるような家庭を築いてほしいと思う。
今の自分が思うように。

もしかしたら生まれてこなかったかもしれない。
父が俺を受け入れてくれなかったら今の自分は存在しなかったと思う。
そう思うと、親、弟、俺を愛してくれる人の為に全てを投げ打ってでも何かをしてあげたいと思ってる。
少なくとも本当に困った時、俺を必要とするその時の為に、その覚悟を胸に刻んで今を生きています。


おとん、おかん、ありがと。
俺はすごく幸せだよ。