【復活】思わず涙が出てしまった恋愛体験



[65]サボテン<>03/04/13 16:57 id:lpqW6s+G
彼女にお礼を言いたくて、これを書きます

オレは小さな頃から怯えて生きてきました
ちょっとしたことでの両親からの身体的、精神的いじめを受け毎日息を潜めるように過ごしてました
そのせいか小学生の高学年になった頃には人を信じることはできず。なんてのか感情のコントロールもうまくできず泣くこともしなくなって妙に冷めた子供だったと思います。
そんな感じで中学の頃にはホトンド学校にも行かず悪い仲間と遊びほうける毎日でした。表面上は仲間と言ってますが、やはり信じることの出来る仲間は出来ませんでした。
人の付き合いでは、どんな関係でも相手を信じることができなければ相手も自分を信じてくれる訳もなく、自分のやることのせいもあり、だんだん孤立してくようになってしまいました。
孤独には慣れてるし、面倒な人付き合いもなくなるし。他人なんて利用するだけのものでしかないと考えもあり。まあ自分にはこのほうが楽でよかったのですが

卒業する頃には家にも寄り付かずケンカ・ヤクブツ・キョウカツやらする毎日でした。



[66]サボテン<>03/04/13 16:57 id:lpqW6s+G
それから2年程経った夏の夜
なにかで苛立ってたオレは駅周辺(田舎)で、この苛々を晴らせそうな相手を探してました。
薄暗い路地に入ったとき、若い女が酔っ払いに絡まれてました。
「こいつにしよう」と思ったオレは、その場に近寄っていきました。女は社会人風で20歳前後くらいに見えました。

「オッサンなにしてんだ?」と言うなり殴り。倒れたとこを蹴りまくってやろうと思ったとき

「やめて」と女が言う。

「なんでだ?自分は怖い目にあってた相手を助けるようなことを?変わった女だ」と思いオレは、ちょっと理解できませんでした。

まあ1発殴ってチョットすっきりしたせいもあり、そこでやめました。酔っ払いは逃げていきました。

下心もあったせいか「危険だし暇だから送っていく」とオレは言い。女は「ありがとう」と言いました。

ありがとうなんて言葉は今まで言われたこともなく、自分でもそんな言葉は恥ずかしくて言ったこともなかったオレはチョット戸惑った。

歩きながら話を聞くと仕事帰りに会社の友達を夕食を外で食べひとりアパートに帰る途中絡まれたこと。年は19歳ってこと。2駅先の所で働いてること。

しばらく歩くと「ありがとう。もう近くだからここでいいよ。ありがとう」と女は言った。

ここでまた「ありがとう」って言葉にオレは照れながらも、なんか嬉しかった。最初にあった下心も消えていた。

そして何事もなく、そこで別れた。この時まさか、また会うことになるなんて思ってもみなかった。



[67]サボテン<>03/04/13 16:58 id:lpqW6s+G
それから数日は「ありがとう」という、あの時の言葉に心地よさを感じながらボーっと過ごした。
なぜか、あの女にもう1度会いたいという気持ちまでも出てくる始末。オレの中でなにかが変わってしまった気がした。
それから間もなく仕事を見つけマジメにやってみようって思い頑張った。自分でもなにかを変えようと思った。

本当に偶然だった。駅の近くで、あの女を見つけた。いてもたってもいられず声を掛けてみた。
すると女はチョット驚いていたが笑顔で「この前はありがとう」と言った。
オレはなぜか嬉しくてしょうがなかった。この笑顔がまたオレを癒してくれた。
近くの公園でしばらく話をして恐る恐る電話番号を聞いた。



[68]サボテン<>03/04/13 16:58 id:lpqW6s+G
半年後には付き合ってた。彼女のアパートで同棲してた。
もう過去のオレはいなくなっていた。彼女がオレに心と人間らしさを教えてくれた。
楽しく幸せな毎日が続いた。ケンカも一杯したりもしたし
しかし彼女がなにかしてくれてもオレは未だに「ありがとう」って言葉を恥ずかしく言うことはできなかった。
オレは仕事を頑張り「いつか、こいつと一緒になれたら」と思ったりもした。

オレが19歳、彼女が21歳のとき妊娠したことを彼女はオレに伝えた。

オレは彼女に「結婚しよう。」とだけ言った。彼女は涙を流し無言で頷いてくれた。

生まれてくる子供はオレのような人間になって欲しくない。精一杯愛してやろうと誓った。

本当に幸せな日が続いた。・・・あの日までは



[69]サボテン<>03/04/13 16:59 id:lpqW6s+G
その日オレは熱を出して寝込んでた。
彼女は夕食の買い物してくると言った。
彼女は「なにか食べたいものない?」って聞いてきたのでオレは「から揚げが食いたい」と言った。
「一緒に行こうか」とオレは言ったが彼女は「鶏肉買ってくるだけだからいいよ」と言った
そして彼女は買い物に出掛けていった。

近所のスーパーまで歩いて10分の距離
1時間経っても帰ってこない。心配になりかけてた時、電話が鳴った。
彼女だろう「遅いぞ」って言おうと思い電話を取った
が・・・それは彼女からの電話じゃなかった。
○○病院からの電話だった。
買い物の帰りに横断歩道を歩いてたとこ事故にあったという内容だった。
オレは体中が震え声も出せずにいた。
「まさか・・大丈夫だよ。もうすぐ子供も生まれて親子3人幸せに暮らせるはずだ。」と思いながら、着替えもせず病院へ向かった。



[70]サボテン<>03/04/13 16:59 id:lpqW6s+G
今オレは22歳になった。
彼女の年を越えてしまった。
彼女に「ありがとう」と言いたかった。
オレに人間らしさを教えてくれてありがとう。
僅かな時間だったけど幸せをありがとうと。

なんで、あのとき「お前が作るものなら、なんでもいいから」って言わなかったんだろう。
なんで、あのとき一緒に買い物に行かなかったんだろう。
オレは今でも先に進めずにいる。あれ以来オレの時間は止まってる。