他人からされた親切なことを語れ



93 :('A`) :04/02/10 01:44
長文ですまそ。ちょっと書かせてくれ。
お世辞にも社交的であるとは言えない俺は昔から
人の輪にとけこめなかった。
あいつ変わってる。ドジ。暗い。被害妄想かもしれないが
常にそういう言葉が人の背中から聞こえてくるようで
ほかの奴がにぎやかにしてるのが怖かった。
4年前だったかな。そんな俺がひょんなことから興味を持ったのが
大学主催のイギリスへの短期留学だった。
「海外に出てみればカルチャーショックで
もっと大きな人間に生まれ変われるかもしれない。」
俺は自分を変えるのにやけっぱちな思いで
親に土下座し、100万からの金を借り、イギリスへと立った



95 :('A`) :04/02/10 01:50
ところが現地に行っても俺は一緒に行った日本人にすら溶け込めず、
一人でパブに入り浸り黙々と酒を飲んでいた。
周りの奴らはカナダやスペインの留学生と
仲間になりわいわいやっているなか、俺は輪に入ろうともせず
ただただバーで一人酒を飲み、高いタバコを吸っていた。
別に意味はないのだがただただ周りの奴が怖かった。
小学校のころに騙されて金を取られたことが何度もある俺は
人をやすやすと人を信頼しなかった。
「こいつは俺をいつか裏切る。こいつに合わせても痛い目を見るだけだ。」
そんな目ばかりで人を見ていた。



96 :('A`) :04/02/10 02:03
そんな留学も、2週間が過ぎた。俺は一人で食う飯にあきていたが、
ほとんど習慣になっていたのであいかわらず誰も誘わず
一人でいつもの食堂に昼飯を食いに行った。
でも、今日の食堂は少し違った。
服にドロのついたみすぼらしい一団が下劣にでかい声で笑っていた。
どうやらチャイニーズなんたらとか言っていた。
俺をバカにして笑ってるのか。
そう思って、腹は立つものの、相手はムキムキの外人。
勝てるはずはないので、まずい飯の途中でタバコだけ吸ってでていこうとした。
タバコを持ち、マッチを右手に持って
いつものように一服しようとする俺。
どうやら昨日の夜に酒をこぼしてしまったらしくつかなかった。
くわえタバコでついてないな。という顔をしながら席を立とうとした。



97 :('A`) :04/02/10 02:14
すると、この一団のボス格、
一番笑いがでかくてペンキだらけの靴を履いた中年のデブマッチョが
「ライター持ってねえの?」と言ってきた。
困ってた俺がうなずくとパっと火をつけてくれた。
驚いた俺がまじまじと顔を見るとそいつはにっこり笑った。
どうやら俺のことが気に入ったらしかった
刺青だらけの腕。ランニングシャツ。泥まみれのブーツとジーパン。
そいつは現地のドカタのグループのボスだった。
俺が日本人であることを言うと、こいつはますます気に入ったらしく
仲間に俺のことを紹介し始めた。
それ以来食事や酒はこいつと一緒にいるみすぼらしい集団と
一緒に食うようになり、俺は一人でさびしく酒を飲むことがなくなった。
イギリスで初めてできた「友達」だった。



98 :('A`) :04/02/10 02:20
それ以来、酒を飲みに行くのが楽しくなった。
俺が飲みに行くたび、こいつらは酒をタダで飲ませてくれた。
俺が財布をあけようとすると、
「お前は若い学生だ。稼ぐようになってから下におごってやんな」と言って。
かまいもせず俺の分の金を払い、酒を注文した。
俺は俺の前にある酒を消化しないとならず手一杯だった。
火のように熱く、激しい飲みだった。



100 :('A`) :04/02/10 02:32
彼らには助けられっぱなしだった。
俺が現地のホモに襲われそうになって命からがら逃げてくると、
こいつら激怒し、近くのバーの周りに一晩中見張りを置いて、ホモ男を捕まえようとした。
俺が仲間に溶け込めないで困っているのを察して
「お前の仲間にこのタバコをやれ」と現地の巻きタバコをくれた。
英語がいまいちうまくない俺にスラングをたくさん教えてくれた

俺が「なんでこんなに優しいのか?」と質問すると
決まってそいつは答えた
「それは俺がイギリス人だからだ。」
そこに細かい理論はなかった。
「友情」を大事にするイギリス人の「誇り」だけがそこにあった。



102 :('A`) :04/02/10 02:42
俺が留学過程を終えたとき、
こいつに卒業証書を渡すと
こいつは証書を掲げ挙げて喜んだ。
そして、クレーンに俺を乗せてくれ、
一番高いところに連れて行ってくれた。

帰ってきてから何度かは文通したが
常にいろいろな土地を渡り歩いているこいつらからは
なかなか手紙を出す機会もないようで
一通も返事は届かなかった。

4年たった今頃もきっとイギリスのどこかであいかわらず
汚いペンキだらけの半ズボンで
バーに入り浸り黒ビールを飲んでいることだろう。もう会えないのかな。
と思うとさびしいがきっと俺は生きていける。心が通いあった事実だけは
本物だから。
Thank you Tony.Bitch no I love you forever