嗚咽 5 「大人の泪」



834 :元 ◆cyonE.JIm. :04/06/05 05:15 id:S0DG81uD
13年一緒に暮らしてきたネコが死んでいく。

学校の校庭で拾った迷いネコだった。
ガリガリに痩せて学生のおやつをねだってニャーニャー鳴く子だった。
今でもポテチが大好物。
上等な皮の首輪をしていた。
ベイビーピンクに銀色の鈴。

生物系の学生だった私は、とりあえず猿ケージに入れてエサをやりつつ保健所の連絡を待った。
校内の掲示板でも写真付きで飼い主&貰い手を探した。
結局、そのネコはその後の私の人生を共にした。

私は恋をし、渡米し、結婚し、そして帰ってきた。
やっと、いくら走り回っても大丈夫な広さの家に住めるようになったのに、彼女はもう走らない。

人に限りなく優しく、獣に厳しい彼女だった。
我が子に添い寝する彼女を夢見たものだ。でももう間に合わない。

私にもっとできることもあったかもしれない。
延命だけが貴女の幸せじゃない事は分かっている。
しかし、今、この時、喉を鳴らしながら私の膝で丸くなっている彼女の為に私はどうするべきか。
痛くないように、苦しくないように、今までありがとうと笑って見送る事ができる
親であり友人でいられるだろうか。