【再度】思い出してホローリくる家族との思い出part4



286 :おさかなくわえた名無しさん :03/05/21 00:35 ID:n/PnIZlD
昔飼っていた犬は元捨て犬で、いい加減大きくなってから飼い始めたこともあってか、
それとも人間不信からか、暫くの間は俺達に対しても唸り続けていた。

ただオヤジに対してだけは、拾ってくれた恩を感じているのか物凄く従順で、俺達が
餌をやろうとすると、時折歯を見せて威嚇する事もあるのに、オヤジが行くと背筋を
ビシッとして畏まり、「食べて良いんだよ」と言うまで絶対に口を付ける事はなかった。

まあそんな事もあったから、俺はあんまりそいつを可愛がらなかったんだが、ある日の夜、
オヤジと一緒に犬の散歩中、ふざけて自転車を運転していたら派手に転けてしまって、
頭をパックリとやってしまった。

予想外の出血にオヤジは動転し、俺の止血も忘れて人を呼びに行ってしまった。
俺はと言うと最初は大したこと無いと思っていたのだが、止まらずにボタボタと流れ落ちる
血を見てだんだんと不安になり、座り込んでベソをかいていた。

その時だ。信じられない事が起こった。
普段ならオヤジべったりの犬がオヤジについて行こうとせずに俺にピタッと寄り添い、
親父が帰ってくるまの間、俺の傍にずーっと立っていた。
それだけじゃない。病院に行く途中に引き剥がそうとしても、頑として俺の傍を離れようと
しなかったのだ。

ああ、コイツは俺の事を守ってくれてるんだなと思ったら、それまで可愛くないからと石を
ぶつけたり、目の前でわざと餌をぶちまけたりした事を思い出してわあわあと泣いた。

それから5年程経ってヤツは病気で死んだ。
毛布にくるみながら、お前の事は忘れないよと、またわあわあと泣いた。