天国の愛犬愛猫へ



636 名前:わんにゃん@名無しさん 投稿日:02/05/19 13:41 id:JHIsL3On
昨日、念願の車を購入した。その足で実家に帰って両親に車をお披露目。
両親は喜んでくれたが、なにか釈然としない気持ちが高ぶっている。

そして思い出す。
オレが7歳の頃にその犬はやってきた。名前はロッキーという。
真っ白いフワフワの毛。垂れた耳と目が人なつこさを表していた。
それからは毎日が一緒だった。オレが母親に怒られると、ロッキーのいる、
玄関にゴハンを持っていって一緒に食べる。悔しくてオレが泣き出すと
不安そうな顔をしながらも、あふれる大粒の涙をペロペロ舐めてくれた。

オレがいうのもなんだが、頭の良い犬だった。知っている人には絶対吠えないし、
知らないセールスの人が勝手に家に入ってくると必ず吠えた。
オレは頭が悪かったが、なんだか出来のいい弟をもった気分だったよ。

車が好きな犬だった。毎年夏には一緒にキャンプへ行った。窓ガラスから
ずっと顔を出していた。高速道路で顔が変形するくらいに風に立ち向かっていた
姿に家族全員が笑った。すごく幸せで楽しかった。

637 名前:わんにゃん@名無しさん 投稿日:02/05/19 13:42 id:JHIsL3On
それから16年が過ぎたとき、その日はやってきた。オレが社会人になって
ようやく会社にも慣れてきたころだった。ロッキーに死期が近いことも知っていた。
体中にガンが転移して、毎日苦しそうな声を上げていた。お医者さんも
手の施しようがなかった。十分長生きしてるけど、それでもやりきれない。
ある日、母親から会社にいるオレに電話がかかってきた。「苦しそうにしていて
耐えられない。これから安楽死させようと思う。おまえの了解が欲しい」と。

ロッキーの鳴き声が頭の中で響き出す。その頃になると、夜中でも朝でも泣いていた。
泣き出すと頭を撫でにいった。すると落ち着いてまた眠り出す。だが、それも
限界だった。オレは母親に「いいよ。楽にさせてあげて」と言って、電話を切り、
会社で泣いた。泣くのが落ち着いた頃、また母親から電話があった。

「お医者さんのところに連れていくまえに、体を洗ってあげようと思って、
洗ってあげていたら気持ちよさそうにしてたのよ。石鹸を手に取ろうと
目を離して次に見ると、天国へね、逝ってたのよ。最期は何も泣かずに
おとなしく、静かに...」「きっとお医者さんのところで、死ぬなんて
嫌だったんだろうね...このウチで、最期...」それ以上は、母親も
言葉を続けられなかった。そしてオレも言葉にならない言葉で、
「ありがとう」といって、電話を切った。そしてまた会社で泣いた。

638 名前:わんにゃん@名無しさん 投稿日:02/05/19 13:43 id:JHIsL3On
ロッキーとの約束を、ハッキリと思い出す。「オレが大人になって車の
免許を取ったら、乗せてやる。真っ先に乗せてやるからな。」

今、オレの車は、ロッキーがつけていた首輪を乗せて走っている。