道場の思い出教えて

236 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:02/09/16 01:46 ID:/8rzqRsE
高校の頃は最高だった。空手も楽しくて。
ケンカも強くて、仲間がいて、女がいて、
誰にも頭下げず、好き勝手やって。
この幸せがずっと続くと思っていた。
だから、疲れた顔して汚いスーツて帰ってくる
親父は、幸せそうに見えずいつもバカにしてた。
大学行って、遊びに走って、バカなことを繰り返した。
学校辞めて、大事な人も心身ともに傷つけて
気が付くと、ダレもいなくなった。
親父も母も苦労かけたままいってしまった。

「このままではいけない」と思い、ネクタイを締めた。
中途半端な会社に入ったが、つらいだけだった。
楽しいことを捨てて、机に縛られて、殴りたい同僚も殴らず、
周りはみんな敵で、というより敵を作ってしまう。
辞める理由ばかり探していた。公私ともに最低な日々。

行きたくもない飲み会の帰り、電車の窓の中に、
疲れた顔したシワだらけのスーツ着た自分がいた。
同じ車両では、遊び返りの高校生が笑ってる。
酒も入っていたのだが、何故か自分の過去全てが悔しくなって、
泣いてしまった。声を殺して肩を震わせていたら、
隣に乗ってた会社員が「どうしましたか?」と聞いてきた。

237 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:02/09/16 01:47 ID:/8rzqRsE

顔を見てお互いに驚いた。高校時代に同じ道場に通っていたKだった。
Kとは、大学に入ったあと、俺がKの女をバカしたのが原因で殴り合いになり、
友人の縁を切った時以来だった。
でも、Kは過去のことをなかったかのように俺に優しく接した。
いっしょに飲みに行き、血の通った優しさみたいのに触れて
さっきとは違う涙がこぼれた。色々話したらKは、「また道場に通え」という。
いつの間にか、Kはそこの指導員になっていた。

後日、Kの待つあの道場に行く。少しきつくなった胴衣を着て、
綻んだ帯を締めて、目を閉じて黙想をすれば、
最高だと思ったあの頃が鮮明に思い出せた。
少し幸せな気分になって、泣けてきた。